夏バテ対策に良い腸内細菌は? 酪酸菌や腸内フローラの関係について詳しく解説します!

暑くて外で日傘をさしている女性

最終更新日:2026年9月30日

暑さが続くと、食欲がわかない、身体がだるい、しっかり寝たはずなのに疲れが抜けない。

そんな「夏バテ」の症状に悩まされる方は少なくありません。

夏バテは、暑さそのものだけが原因ではなく、屋内外の温度差による自律神経の乱れや食事内容の変化、高温多湿の環境による発汗の異常や睡眠の質や量の低下など、複数の要因が重なって起こると考えられています。

さらに、近年、夏バテを含めた夏の不調を考えるうえで注目されているのが「腸内環境」です。

腸内には無数の細菌が生息しており、その中には善玉菌と呼ばれる「有用な細菌」が存在します。

ビフィズス菌や乳酸菌、そして酪酸菌(らくさんきん)といったさまざまな善玉菌のはたらきによって腸内環境が整い、それが全身の健康に影響を及ぼすことも知られています。

そこでこの記事では、夏バテが起こる仕組みを整理したうえで、夏バテと腸内細菌の関係を解説しながら、重要な善玉菌の一種である酪酸菌のはたらきを紹介します。

また、暑い季節でも無理なく続けられる腸活のポイントもご紹介しますので、ぜひ毎日の生活習慣に取り入れ、夏バテしにくい腸内環境づくりを意識してみて下さい。

夏バテはなぜ起こる? 夏バテの原因とは?

外で夏バテになっている男性

「暑さで体力を消耗する」ということだけが、夏バテの原因ではありません。

もちろん夏の厳しい暑さが根本にあることは確かですが、それに伴って生じる生活習慣の変化なども、夏バテを引き起こす要因になっていると考えられます。

たとえば、暑さで食欲が落ちて食事の内容が変わる、冷たい飲み物を飲む機会が増える、冷房の効いた室内と暑い屋外との温度差によって身体への負担が大きくなったり、冷房で身体が冷えすぎる、熱帯夜が続いて寝不足になるなど、こうした変化がいくつも重なることで、身体は少しずつ疲れをためこんでいくことも。

「毎日クーラーの効いた部屋で過ごしているのに、なんだか夏バテのような疲れを感じる」という方が少なくないのも、暑さそのものだけが原因ではないことの表れといえるでしょう。

そして、これらの変化はいずれも、身体だけでなく腸の働きにも影響を及ぼすと考えられています。

ここではまず、夏バテにつながりやすい生活習慣を一つずつ確認していきましょう。

自分に当てはまる生活習慣があるという方は、できるところから見直していくことが大切です。

食事のメニューが偏ってしまう

暑さで食欲が落ちると、そうめんや冷やし中華、アイス、冷たい飲み物など、のどごしの良いものに偏りがちです。

こうした食事は糖質が中心になりやすく、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、そして食物繊維が不足しやすいという特徴があります。

この中でも、食物繊維は、腸内細菌のエサとなる重要な成分のひとつです。

夏場の単品メニューが続くと、知らず知らずのうちに食物繊維の摂取量が減り、腸内細菌にとっても過ごしにくい環境が作られてしまう可能性があります。

「食欲がないからそうめんだけ」という献立の日であっても、ねぎやオクラ、わかめなどの食物繊維を含む具材をプラスするほか、納豆やサラダ、食後のヨーグルトなどを組み合わせて、食品の種類を増やし、少しでもバランスの良い献立にすることを意識してみましょう。

冷たいものの摂りすぎと胃腸の負担

汗をかく季節は水分補給の回数が増えますが、冷たい飲み物や氷入りのドリンクばかりが続くと、胃腸に負担がかかり、お腹の不調を感じてしまう方もいます。

食欲の低下やお腹の張り、便通の乱れといった症状は、夏バテの代表的なサインでもあります。

とはいえ、水分補給そのものは、脱水を防ぐために欠かせません。

だからこそ、水分の「量」だけでなく「温度」や「中身」にも目を向けることが大切です。

冷たい飲み物ばかりに偏らず、常温の水や白湯、温かいお茶なども取り入れながら、胃腸をいたわることを意識してみましょう。また、カフェインを含む飲み物や糖質の多い飲料は摂りすぎに気を付けることも大切です。大量に汗をかいたときは、塩分やその他のミネラルも体から外に出てしまいますので、スポーツドリンクは必要に応じて活用するとよいでしょう。

冷房による温度差と自律神経の乱れ

暑い日が続くと、冷房の効いた室内で過ごす時間が長くなります。

熱中症を防ぐためには、適切にクーラーで温度管理を行うことが大切ですが、同時に、室内と屋外との激しい温度差にも注意が必要です。

身体は環境の変化に合わせて体温を調節しようとしますが、室内と屋外の温度差が大きい状態が続くと、その調節機能に負担がかかり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。その結果、だるさや夏バテにもつながることがあります。

また、自律神経は、腸のぜん動運動や消化機能の調節に関わっています。そのため、自律神経のバランスが乱れると、便通や消化機能に影響を及ぼし、結果として腸内環境にも変化が生じる可能性があります。

夏場は室内外の温度差をできるだけ小さくしたり、十分な睡眠や休養を心がけたりしながら、自律神経への負担を減らすことも大切です。

寝苦しさによる睡眠の質の低下

熱帯夜が続くと寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりと、睡眠の質や量が落ちやすくなります。

睡眠は身体を回復させるための大切な時間ですので、ここが崩れると疲れが翌日に持ち越されてしまいます。

そして、睡眠は腸内細菌や腸内環境にとっても重要な要素のひとつでもあります。近年では、睡眠と腸内環境が互いに影響し合うことが報告されており、睡眠不足や睡眠の質の低下によって腸内細菌のバランスに変化が生じる可能性も示されています。腸内環境にとっても、夏の寝不足は見過ごせません。

クーラーや扇風機、サーキュレーターなどを適切に使用して、熟睡しやすい、寝心地の良い環境を作ることを意識しましょう。

夏バテと腸内細菌には関係がある?腸内フローラとの関係は?

外で夏バテになっている女性

ここまで見てきた夏バテの原因は、腸内環境にも影響を及ぼす可能性があるものが含まれています。

腸内細菌が直接的に夏バテを引き起こすということではなく、夏の環境や生活習慣の変化は、体調だけでなく腸内環境にも影響する可能性があります。

私たちが食べたものは、消化・吸収されてエネルギーになるだけでなく、その一部が大腸まで届き、腸内細菌のエサとなります。そのため、食事内容の変化、とくに食物繊維の摂取不足は、腸内細菌のバランスにも影響を及ぼすことがあります。

また近年では、睡眠やストレス、自律神経の状態と腸内環境が相互に関わっていることも報告されています。睡眠不足や睡眠の質の低下によって腸内細菌のバランスに変化が生じる可能性も示されています。

実際に、私たちの腸内には100兆個もの腸内細菌が棲みつき、「腸内フローラ」という集団を形成しています。

無数の菌たちが各々のテリトリーを保ちながら相互に影響し合い、お花畑(フローラ)のような環境をつくっているのです。

この腸内フローラのバランスは、疾病(病気)だけでなく、食生活や睡眠、ストレスなど、さまざまな要因の影響を受けることが知られています。

夏に起こりやすい「糖質に偏った食事」「食物繊維不足」「ストレスの増加」「睡眠不足や質の低下」といった変化は、腸内フローラにも影響を及ぼす可能性があります。

腸内環境の乱れが「疲れやすさ」につながることもある

腸は、日々の食事から栄養素を取り入れるといった、非常に重要な役割を担っており、有益な栄養を取り入れ、不要なものは便として排出するといった、複雑なはたらきをしています。

そのため、腸や腸内環境にトラブルがあると、食欲の低下やお腹の不調などを生じ、結果として全身のコンディションにも影響を及ぼすことがあります。

「食べているのに元気が出ない」「休んでも疲れが抜けない」と感じる方は、腸の状態にも目を向けてみることが大切です。

夏バテ対策としてしっかり栄養を摂取するだけではなく、その栄養を受け取る側である「腸が整っていること」も、とても重要な視点といえます。

腸内細菌がつくる「短鎖脂肪酸」とは?

腸内細菌には、腸に届いた食物繊維を発酵・分解して「短鎖脂肪酸」をつくり出すといったはたらきがあります。

短鎖脂肪酸には、酢酸、プロピオン酸、そして酪酸といったものがあり、酢酸やプロピオン酸のほとんどは、大腸の粘膜から吸収されて血流に乗り、肝臓や筋肉、腎臓などに運ばれてエネルギー源や脂肪をつくるための材料になります。

「酪酸」はその多くが直接、大腸の粘膜上皮のエネルギー源として使われます。

大腸の粘膜上皮細胞が必要とするエネルギーのうち、約60~80%は腸内細菌がつくる酪酸でまかなわれているともいわれており、大腸が正常にはたらくためには欠かせない物質です。

さらに酪酸は、大腸の健康維持を通じて、良好な腸内環境を支える重要な役割を担っています。

つまり、酪酸をつくる腸内細菌が働きやすい環境を保つことが重要であり、そのためにも腸内環境を整える意識が大切です。

食事が偏りやすく、腸内環境も乱れやすい夏だからこそ、腸内細菌のはたらきを支えることが、身体のコンディションを整える秘訣といえるでしょう。

夏バテ対策で意識したい腸内細菌のひとつ「酪酸菌」

腸内環境を整えるうえで、注目されているのが「酪酸菌」です。

酪酸菌は、乳酸菌やビフィズス菌と同じ有用菌(善玉菌)の仲間です。なかでも、腸内で「酪酸」と呼ばれる短鎖脂肪酸を産生することが、酪酸菌の代表的な特徴として知られています。

酪酸は大腸の(大腸の粘膜上皮の)エネルギー源となるだけではなく、腸内環境そのものを整えるはたらきも知られています。

酪酸には、大腸の粘膜上皮細胞の代謝を促して酸素を消費させ、酸素が少ない状態の腸内をつくり出すといった作用があります。

ビフィズス菌や酪酸菌といった善玉菌は酸素を苦手とするタイプであるため、酪酸には善玉菌が活動しやすい環境を整える役割もあるといえます。

酪酸が健康な腸内フローラのベースをつくり、その腸内フローラがさらに酪酸を生み出す。

この好循環を保てるかどうかが、夏の腸内環境を考えるうえでの大きなポイントになります。

酪酸菌を毎日の生活に取り入れるには

夏の腸内環境を支えるうえで心強い存在である酪酸菌ですが、実は食事から摂ることが難しい菌でもあります。

というのも、乳酸菌やビフィズス菌と違って、酪酸菌を含む食品はぬか漬けや臭豆腐くらいしかなく、非常に限られているためです。

こうした食品を日々の食事に取り入れるほか、便通の乱れや腹部膨満感などのおなかの不調が気になったり、日々のおなかケアを行いたい場合には、酪酸菌が配合されたサプリメントや整腸剤を活用する方法もあります。

夏バテの原因は生活習慣や腸内細菌だけではありません。

食欲が落ちやすい夏場だからこそ、身体の状態を見ながら、無理なく続けられる方法を選びましょう。

夏バテ対策には酪酸菌を意識した腸内環境づくりが大切です!

手のひらで腸を抑えている女性

夏バテの背景には、食事の偏りや食物繊維不足、冷たいものの摂りすぎ、自律神経の乱れ、睡眠の量や質の低下といったさまざまな要因が重なっています。

そのどれもが腸内細菌や腸内フローラにとって大きな影響を与えるものになりますので、夏バテや夏の不調が気になるときには、腸のはたらきに目を向けてみることも大切です。

暑い季節を健康的に乗り切るためにも、酪酸菌をはじめとする腸内細菌が元気にはたらける腸内環境づくりを心がけていきましょう。

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