監修:内藤 裕二 先生
(一般社団法人 日本ガットフレイル会議 理事長/日本潰瘍学会 理事長/日本酸化ストレス学会 理事長/京都府立医科大学大学院 医学研究科生体免疫栄養学講座 教授)
病気ではないけれど、便秘や下痢気味でおなかの調子がよくない――。そうした悩みを抱えている人は少なくありません。実は、便は腸内フローラの状態を知るバロメーター。トイレに行ったら便をチェックする習慣をつけて、腸内フローラの状態を確認しましょう。
チェックするポイントは、硬さ、ニオイ、頻度の3つ。理想的なのは、表面がなめらかなソーセージ(バナナ)状の便です。有用菌(善玉菌)が多いと、ニオイもそれほど強くありません。週に3回以上、定期的に気持ちのよいお通じがあれば腸内環境は良好と言えそう。
一方、硬くてコロコロの便や液体状の便の場合、有害菌(悪玉菌)が多い可能性が。腸内で有害菌(悪玉菌)が増殖していると、有害菌(悪玉菌)がニオイの強い物質を作り出すため便のニオイがきつくなります。定期的にお通じがあっても、強くいきまないと出なかったり、便が残っている感じがあったりする場合は、腸内環境が悪化しているおそれも。
腸内フローラの状態は、食事や運動などの生活習慣にも影響されます。便秘や下痢などのおなかの不調は、知らず知らずのうちに腸内フローラを乱してしまっていることが原因かも。自分の生活を振り返ってチェックしてみましょう。
腸内フローラを乱す可能性のあるNG習慣、あなたはいくつ当てはまりましたか? 腸を健康にしたいなら、こうした習慣はなるべく避けたいところ。まずは、できることから取り掛かりましょう。
腸にとってよくない生活習慣をやめたら、次に取り組みたいのが食事の見直し。意識したいのは、有用菌(善玉菌)のエサとなる食物繊維を積極的に摂ることです。海藻、野菜などの食物繊維が豊富な食品を毎日摂るように心がけて。丼ものより定食を選ぶなど、なるべく色々な食品を摂ることも大切です。また、主食に大麦、玄米などの穀類を追加するのがポイントです。
お酒は適量を守りながら飲むことが大切。ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度が目安です。
ヨーグルトなどの発酵食品を摂るのも腸内フローラを整えるには有効。有用菌(善玉菌)の中には、酪酸菌など食品から摂取するのが難しい菌もあるので、整腸剤を活用するのもオススメの方法です。
運動は腸の健康維持にも必要不可欠。速足で歩くといった軽めの運動でいいので、1日30分の運動を習慣づけましょう。運動が好きなら、週に3日程度ランニングやサイクリングなどの有酸素運動をするのもオススメ。
意外に思えるかもしれませんが、睡眠も腸活に欠かせない要素の1つ。睡眠不足によって腸内フローラが乱れてしまうおそれがあるとの報告もあります。休日に寝だめしたりせず、毎日十分な睡眠をとるように心がけて。就寝前にカラダを温める飲み物を飲むとリラックスでき、快眠につながります。