腸活に良い食材5選! 腸内環境を整えるためにはどんな食事がいいの?

「腸活」は、いまや一般的に浸透している注目ワード。便秘改善などの健康面だけでなく美肌といった美容面にも多くのメリットがあり、腸内環境を整えることについて興味がある人も多いでしょう。腸の調子を整えるものとして、食物繊維、乳酸菌、発酵食品などなんとなくイメージはあっても、具体的にどんな食材を摂ると良いのか分からない人もいるのでは?
今回は予防医療コンサルタントの細川モモさん監修のもと、腸活のメリットからおすすめ食材までをご紹介します。

監修
細川モモさん(予防医療コンサルタント)

なぜ腸内環境を整えることが大切なの?

腸は栄養素を体に取り入れるために重要な器官。胃から消化されて腸へ運ばれてきたものをなんでも吸収するのではなく、有害物質と栄養をきちんと選別し、人に有益な栄養を取り入れ、有害なものは便として排出する役割を担っています。

そのため、腸や腸内環境にトラブルがあると、毎日しっかり食事をしていても栄養が体にうまく吸収されず、貧血になったり、骨密度が低下したり、低栄養が起こりやすくなるのです。人の体は栄養をもとに作られるため、腸からの栄養吸収がうまくいかなければ、免疫力も低下します。それによって、さまざまな不調が引き起こされ、疾病リスクも高まってしまうのです。

腸内環境を整えるには? 積極的に取り入れたい食材

私たちの腸内には、100兆個もの菌が棲みつき、『腸内フローラ』という集団を形成しています。しかし、人の体に棲んでいる善玉菌は加齢とともに減少し、生後数日の赤ちゃんでは善玉菌が90%、3才では70%になりますが、大人になると20%まで減少してしまいます※1。これらの菌の多様性とバランスを保つことが、腸内環境を良い状態にする近道です。

腸内フローラが乱れる原因は、疾病のほか、生活習慣の乱れや加齢、ストレスなどさまざま。偏った食事でも乱れに繋がるため、バランスの良い食事を心がけ、腸内フローラの善玉菌を増やすような食生活が肝心です。

善玉菌を含む、体に良い働きをする『プロバイオティクス』と、その善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖といった『プレバイオティクス』の両方を意識しましょう。これらをセットで摂ることを『シンバイオティクス』と呼び、より効果的に腸内フローラを整えるためのポイントになります。

ちなみに、プロバイオティクスには、よく聞く乳酸菌やビフィズス菌のほか「酪酸菌」があげられ、腸活の新常識として注目を集めています。

腸活におすすめの食材5選

腸内環境を整えるためには、善玉菌を含む食材と、善玉菌のエサとなる食材の両方を意識する「シンバイオティクス」が効果的です。

納豆、ヨーグルトなどの発酵食品

乳酸菌や納豆菌、ビフィズス菌といった菌が含まれる発酵食品は、腸にとって有効な微生物を含む恰好のプロバイオティクス食品です。世界有数の発酵大国といわれる日本ならではの、納豆やぬか漬けといった発酵食品がたくさん。ぬか漬けには酪酸菌も含まれているとされています。またナチュラルチーズやヨーグルトも世界的にメジャーな発酵食品で、健康のためにこれらを意識的に摂ることは腸内環境を良好に保つうえで大切なことです。

味噌や醤油などの発酵調味料

味噌、醤油、酒といった発酵調味料や、だしの材料のひとつであるかつお節(枯節)も発酵食品です。これらにはうま味も多く含まれているので、鍋や味噌汁などに入れて、手軽に取り入れやすいのが魅力。発酵食品と一言でいっても含まれている菌や微生物はそれぞれ異なるので、上手く組み合わせて料理に取り入れると、多種多様な菌を同時に摂取でき、栄養価もアップします。

善玉菌のエサになりやすい、海藻類などの水溶性食物繊維

リンゴ、キウイ、イチゴ、わかめ、アボカド、ニンジン、大根など、水溶性食物繊維を含む食材は、善玉菌のエサとなるプレバイオティクス。
水溶性食物繊維は「酪酸菌」のエサともなってくれるため、普段の食事からはなかなか直接摂りづらい酪酸菌を育てるために意識したいものです。大根とわかめのお味噌汁などにすることで、発酵食品である味噌も摂れます。

また水溶性食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにして血糖値の急上昇を防いだり、コレステロールを吸着して体外に排出する働きもあります。

便のカサを増やしてくれる、玄米などの不溶性食物繊維

不溶性食物繊維には、蠕動(ぜんどう)運動を活発にして便通を促進する働きがあります。玄米、おから、シリアル、タケノコ、レンコン、さつまいも、きのこなどに多く含まれます。たとえば、きのこの炊き込みごはんや干し芋などで手軽に摂ることができます。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維はそれぞれに違った特徴があり、どちらも大切な働きをするため、両方をバランスよく補いましょう。

腸内細菌のエサとなるオリゴ糖

腸内細菌にとってごちそうであるオリゴ糖も、食物繊維と同様、腸内環境をサポートしてくれます。腸活に役立つだけでなく、太りにくい糖質として、ダイエット中の方の強い味方にも。

オリゴ糖は、甘味料としても販売されていますが、大豆、ゴボウ、たまねぎ、にんにく、バナナなどにも含まれているため、意識して食べるようにしましょう。

腸活をするとこんなにメリットが!

不調知らずの健康への第一歩である腸活。腸内環境を整えると、どんなメリットがあるのでしょうか。

免疫を整え、アンチエイジングにも一役

免疫細胞のおよそ70%は腸に存在しています。そのため、腸内環境を整えることは“病気に強い体”を作る第一条件といえます。
腸内環境が悪化すると免疫細胞がうまく働かず、アレルギーなどを起こしやすくなりますが、酪酸菌などの善玉菌が作り出す「酪酸」という物質には、炎症やアレルギーを抑制する免疫細胞を増やす働きがあります。実際に、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の患者の腸内は酪酸を作る腸内細菌が少ないことで知られています。

また健康面だけでなく、美容面においても腸内環境は大切な役割を果たしています。肌を作るコラーゲンや天然保湿因子は腸から吸収された栄養素から作られ、さらに腸内細菌は人(人間)が作れないビタミンも作ってくれているのです。これらは美肌やアンチエイジングにも一役買ってくれます。

精神を安定させ、ストレスの緩和も

腸内細菌はハッピーホルモンとも呼ばれるセロトニンやドーパミン、脳の興奮を鎮めるGABAなど、神経に作用する物質を作る※2など、私たちが思っている以上に心の健康にも影響することが分かってきています。ストレスを感じるとお腹が痛くなったり、下痢、便秘をしたりと消化管の運動が悪くなることがあるように、腸と脳は非常によく連携しているのです(腸脳相関)。

逆に、腸内環境の乱れが脳に伝わると不安感が増長したりストレス耐性が低下するといった脳の活動への影響が起こりやすくなります。マウスの実験では、腸に善玉菌を定着させてあげると不安レベルが低下することが報告されています※3

健やかな肌の大敵である便秘を解消

腸内環境が良い状態だと腸の蠕動運動が促進され、便秘が解消されます。便秘は体にさまざまな悪影響を及ぼすことが分かっていて、腸内で食物の腐敗が進み老廃物がたまっていきます。その有害物質がさらに、腸から血液中に吸収されて全身に行き渡り、皮膚にもその影響が生じて肌荒れなどにつながることがあります。つまり、腸内環境を整え便秘を解消することは、健やかなお肌にもつながるのです。

~ウイルスから体を守る「大腸バリア」とは?~

前述のとおり、便秘の状態が続くと、腸内にたまった老廃物から有害物質が作られ、血液中に吸収されてしまうリスクがあります。そこで注目したいのが「大腸バリア」です。

大腸バリアとは、ウイルスや有害な菌、物質などから体を守ってくれる働きのことで、大腸の壁を厚い粘液層で覆うことで守っているのです。酪酸菌の産生する酪酸は、その粘液の産生を促すことも分かっており、これからの腸活として注目が集まっています。酪酸菌の含まれる食材は少ないため、サプリメントや整腸剤なども選択肢の1つとしておすすめです。

【まとめ】日々の食事から腸内環境を整えよう

人の健康、美容、アンチエイジングなど、多大な影響を及ぼす腸内環境。腸活によって腸を健やかに保つには、まず善玉菌が活動しやすい環境を作ってあげることが大切です。

今回紹介した食材を積極的に取り入れるほか、酪酸菌による「大腸バリア」も意識してセルフメディケーションしていきましょう。

※画像はイメージです

参考文献

※1光岡知足. 食衛誌 Vol. 31, No. 5, 368−370 (1990)

※2 Barrett. E. et al. J. Apple. Microbial. 113, 411-417(2012).

※3 Nishino Rら. "Commensal microbiota modulate murine behaviors in a strictly contamination-free environment confirmed by culture-based methods." Neurogastroenterol Motil. 2013; 25(6):521-85

関連リンク