酪酸菌と酪酸について詳しく知る

食事や運動で腸内の酪酸を増やす!

健康のカギを握る、酪酸とは?

科学の進歩によって腸内フローラの解明が進むなか、注目を集めている「酪酸」。酪酸は、酪酸菌(酪酸産生菌)という腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸の一種です。

腸内で作られた酪酸は、主に大腸が正常なはたらきをするためのエネルギー源として使われます。大腸の粘膜上皮細胞が必要とするエネルギーの約60~80%は酪酸でまかなわれており、大腸が正常に機能するには酪酸は重要と言えます。

酪酸のチカラは腸の健康を保つだけにとどまりません。アレルギー疾患、インフルエンザなどの感染症、さらには糖尿病やがんとの関連が研究され、カラダ全体の健康維持に貢献している可能性がわかってきています。

食事の工夫で酪酸は増やせる

カラダの健康を支える酪酸ですが、酪酸を作り出せる腸内細菌は酪酸菌だけ。つまり、腸内の酪酸を増やすには、酪酸菌を増やしたり、酪酸菌のはたらきを促したりすることが重要なのです。

腸内の有用菌(善玉菌)を増やすには、食品などで有用菌(善玉菌)そのものを摂る方法があります。けれど、乳酸菌やビフィズス菌と違って酪酸菌を含む食品は少なく、臭豆腐ぐらいしかありません。そのため、食事から酪酸菌を摂るのは難しそう。

でも、食事を工夫することで腸内の酪酸菌を育てることは可能です。その方法は、酪酸菌のエサとなる食物繊維を摂ること。日本人の多くは食物繊維が足りていません。食物繊維には大きく分けると水に溶けやすいもの(水溶性)と水に溶けにくいもの(不溶性)があり、特に腸内細菌のエサになりやすい水溶性食物繊維を意識して摂ることが大切です。

  • 日本人の食物繊維の摂取目標量(18~69歳)
  • 男性 1日あたり20g以上
  • 女性 1日あたり18g以上
  • 日本人の食事摂取基準(2015年版)より
  • 戦後日本人の食物繊維摂取量の推移
  • 日本人の年齢階級別食物繊維摂取量
    (1人1日あたり平均値)
  • 戦後日本人の食物繊維摂取量の推移 日本人の年齢階級別食物繊維摂取量(1人1日あたり平均値)
  • 日本家政学会誌 45(12):1079-1087 1994
    国民健康・栄養調査より
  • 平成29年 国民健康・栄養調査より
  • 戦後日本人の食物繊維摂取量の推移
  • 戦後日本人の食物繊維摂取量の推移
  • 日本家政学会誌 45(12):1079-1087 1994
    国民健康・栄養調査より
  • 日本人の年齢階級別食物繊維摂取量
    (1人1日あたり平均値)
  • 日本人の年齢階級別食物繊維摂取量(1人1日あたり平均値)
  • 平成29年 国民健康・栄養調査より

偏った食事やストレスなどの影響で腸内フローラが乱れてしまっている場合は、整腸剤の力を借りるのも有用な方法。酪酸菌配合の整腸剤を服用すれば、増えた酪酸菌が酪酸を作り出すことで腸内が有用菌(善玉菌)のはたらきやすい環境に変わっていきます。

酪酸を増やすには運動も大切

食生活の改善だけでなく、運動習慣の改善も腸内の酪酸菌を増やすのに効果的。息が上がるようなやや強度の高い運動を30~60分間、週に3回を6週間続けて行うことで、BMIにかかわらず酪酸菌が増えることが報告されています。また、この効果は普通体重、やせの人でより顕著だったとされています(下図)*1
運動する習慣をやめると酪酸菌が減ってしまうことも示されているので(下図)*1、継続することが重要と言えそうです。

  • 運動前・中・後の5つの酪酸菌の増減
    (BMI25未満の群とBMI30以上群の比較)
  • 運動あり(6週間) 運動なし(6週間)
  • 運動あり(6週間)
  • 運動なし(6週間)
  • 普通体重、やせ(n=18) 肥満(n=14)
  • # 運動ありまたは、運動なしの主な効果(p<0.05)
    平均±標準誤差

また、プロのラグビー選手では、座る生活が中心の人と比べて酪酸が多いという報告も(図)*2

  • 便に含まれる短鎖脂肪酸
    (酢酸、プロピオン酸、酪酸)の濃度の中央値
  • 便に含まれる短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)の濃度の中央値

このように、酪酸を増やすには運動もよさそうだということが示されています。腸の健康のためにも運動を上手に取り入れていきたいですね。

酪酸菌を含む腸内フローラ全体を改善し、腸から健康的なカラダを手に入れるための方法は「今さら聞けない「腸活」の基本!」で詳しく紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。

参考文献

*1 Med Sci Sports Exerc. 2018 Apr;50(4):747-757.

*2 Gut. 2018 Apr;67(4):625-633.

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