第4弾:中村 アン さん × 内藤 裕二 先生
前回の第3弾 腸活はメリットだらけ! 腸内細菌の一つ「酪酸菌」とは に続き、女優中村アンさんと腸内細菌の研究における第一人者である内藤裕二先生に今回は、腸活とメンタルコントロールの関係についてお話を伺いました。
対談者
内藤 裕二 先生
一般社団法人 日本ガットフレイル会議 理事長/日本潰瘍学会 理事長/日本酸化ストレス学会 理事長/京都府立医科大学大学院 医学研究科生体免疫栄養学講座 教授
中村 アン さん
女優
内藤先生
コロナ禍には多くのストレスもありましたが、腸と脳の関係については注目されるテーマですね。最近の実験で、興味深い結果が出ています。
まずネズミは、菌に出会わずとも栄養さえ与えていればすくすくと育ちます。しかし、生まれてから一度も菌に出会ったことのないネズミは、喧嘩っ早い、興奮しやすい、学習能力がない、協調性がないなどの特徴があったんです。これを私たち人間に置き換えるとすると、腸内細菌による刺激を受けずに育つと、無菌で育ったネズミと同様に、神経が未熟なままとなる可能性があるかもしれません。
人間の腸の中には多くの菌がすみついていますが、それは必ずしも悪いことではありません。腸内細菌の中には悪い菌だけではなく、身体に良い影響をもたらす菌もいるからです。
中村さん
腸内細菌の多様性が、そのようなところにまで影響を与えているんですね。とても驚きました!
内藤先生
メンタルと腸活は今すごく注目を集めているテーマです。
最近のオリンピック選手を見ていると、みんな徹底的にメンタルをコントロールしていますよね。筋肉を鍛え技術を磨いても、メンタルが備わっていなければ金メダルは難しいといわれます。
腸とメンタルの関係に注目し、お肉だけを食べるのではなく、遠征にサバ缶を持っていくような選手や、全粒穀類で食物繊維を摂取している選手もいます。プロであればあるほど、腸活をしていることがわかります。
中村さん
腸とメンタルは深く関係しているんですね!
自分のメンタルの状況によって体調なども変わってしまうと思うので、意識するようにしていましたが、これからは腸活に力を入れてメンタルコントロールしていきたいと思います!
内藤先生
腸内環境を左右する要因は、生まれた環境と今の環境のハーフ&ハーフくらいといいたいところですが、実際は生まれた環境の方が大切になるかもしれません。東京生まれだったり都会育ちだったりする方は、生まれた環境が綺麗すぎるので、ややハンデになるかもしれませんね。
人は無菌で生まれてきますが、最初の3年くらいでいろんなものを食べたり触ったりして、いろんな菌が体内に入ってきます。ただし、すべての菌が身体にすみつくわけではなく、自分にとって良い菌だけをすまわせて、要らない菌は体外に排出する仕組みが備わっているので安心してください。
内藤先生
そして生まれてから6カ月くらいが経つと、母親からもらった免疫物質がだんだんなくなってくるので、そこから免疫が発達して一人前に成長する準備をします。なので、生まれてから6カ月くらいが経過して、食べ物を食べるようになってからの2年半〜3年くらいで腸内細菌が作られると考えられます。このタイミングで、その人の将来的な腸内環境が大きく変わってくるかもしれないですね。
中村さん
腸内フローラは3歳までに決まるってよく言いますもんね…。離乳食から腸活が始まっているということがよくわかりました。
中村さん
先生とお会いした瞬間に感じましたが、パワフルでなんだかオーラもあって、腸活の効果を証明されている気がします。私も表現することを職業にしているので、自分の体内に入れる食べ物はすごく大切になると改めて実感しました。
内藤先生
あとは、楽しく食べることも重要です。例えば高齢者が毎日一人で食事をしていると、認知症の進行やフレイル(※)などにもつながります。
認知症やフレイルを予防するには、社会とのコミュニケーションを維持しつつ身体に良い食事を心がけ、運動を日常生活に取り込んで規則正しい生活を送ることが大切です。ちなみに今僕が目標にしているのは、腸活で若返ることです。
※フレイル:年齢を重ねるにつれ、筋力や身体の活力が低下し、介護が必要な状態に近づくこと
中村さん
腸活で若返り!良いですね〜!
内藤先生
腸内細菌は脳などに直接効果が期待できるわけではありませんが、腸内へ働きかけることで、間接的に若返りにつながると僕は考えています。僕はこれからも腸内環境について勉強を続けるつもりです。
中村さん
先生は本当にパワフルでアスリートみたいですね。
新しい刺激をいただいたときに、どのように活かして自分の生活に取り入れるか、新たな視点を学ばせていただきました。私も内藤先生に負けないように、まずはできることから腸活を頑張りたいです。今回はありがとうございました。
内藤先生
こちらこそありがとうございました。