酪酸菌と酪酸について詳しく知る

あなたの知らない腸内細菌

腸内細菌はどこからやってくる?

私たちの腸内には、1,000種類以上の腸内細菌が一定のバランスを保ちながら「腸内フローラ」という集団を作って棲みついています。棲みつく腸内細菌の数は、実に100兆個と言われています。人間のカラダを構成する細胞が約37兆個とされているので、その数がいかに多いかがわかります。

これほどたくさんの腸内細菌は、いったいどこからやってきたのでしょう? 母親の胎内にいるとき、胎児はほぼ無菌の状態です。それが、出産時に母親の産道を通過したり、生後に母乳を飲んだり、産院の環境下で過ごすことで様々な細菌にさらされ、口や鼻から細菌がカラダの中に入るとされています。その一部が腸に棲みつくようになり、徐々に腸内フローラが形成されるのです。

  • 年齢とともに移り変わる腸内細菌叢
    (東大・光岡知足による:模式図)
  • 年齢とともに移り変わる腸内細菌叢(東大・光岡知足による:模式図)
  • *出典 目でみるからだのメカニズム 第2版 医学書院

幼児になると、大人とほとんど変わらない腸内フローラができあがるとされています。健康であれば腸内フローラの構成は大きく変動しませんが、年をとると有害菌(悪玉菌)が増える傾向にあります*1

  • 年齢とともに移り変わる腸内細菌叢
    (東大・光岡知足による:模式図)
  • 年齢とともに移り変わる腸内細菌叢(東大・光岡知足による:模式図)
  • *出典 目でみるからだのメカニズム 第2版 医学書院

研究が進む腸内フローラ

生まれて間もない頃から私たちの腸内に存在する腸内フローラ。実はいま、世界中の研究者たちから腸内フローラに熱い視線が注がれています。

腸内フローラに関する研究論文の数は2010年代から年々増加していますが、その背景にあるのが解析技術の進歩。遺伝子解析技術等によって、より幅広く解析ができるようになり、腸内細菌の研究は大きく進みました。

  • 腸内フローラに関する論文数の年次推移
  • 腸内フローラに関する論文数の年次推移
  • “Gut Microbiota”をキーワードに
    PubMedで2019年2月21日に検索

さらに、腸内細菌そのものだけではなく、腸内細菌がどのような物質を作り出すのかといったことにも注目が集まっています。その1つが、酪酸菌(酪酸産生菌)が作り出す「酪酸」です。様々な研究から、酪酸が腸の健康やカラダ全体の健康に関わっていることが指摘されています。

便秘・下痢以外にも? 
腸内細菌が支える健康

腸には免疫系や神経系、内分泌系をつかさどる細胞が存在しており、全身の健康を維持するのに重要な臓器です。腸がその機能を発揮する上でカギとなるのが、腸内フローラ。腸内フローラは、免疫系、神経系、内分泌系の細胞と密接に連携をとることで腸の機能を維持していると考えられています。

  • 腸内フローラと全身の恒常性の関係(イメージ)
  • 腸内フローラと全身の恒常性の関係(イメージ)

腸内フローラが乱れると、便秘や下痢などのおなかの不調だけでなく全身の不調につながるおそれがあります。これまでの研究では、腸内フローラの乱れが花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患や肥満、糖尿病、さらには大腸がんや乳がんにも関連することが報告されています。

つまり、健康を維持するには腸内フローラを良好な状態に保つことが大切だということ。今日からあなたも腸内フローラを意識してみませんか?

腸から健康なカラダを目指すには、おなかの調子を整える有用菌(善玉菌)のなかでも酪酸を作る酪酸菌に着目することが大切です。酪酸が健康に役立つ理由は、「酪酸の秘められたチカラ」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

参考文献

*1 目でみるからだのメカニズム 第2版 医学書院

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