中村アンさんと内藤裕二先生の写真

第1弾:中村 アン さん × 内藤 裕二 先生

腸活を始める前に知っておきたい「腸活の三本柱」について

腸活に興味があるものの、「具体的に何をしたら良いの?」「どんな効果があるの?」と気になっている人は多いでしょう。今回は最近話題の腸活について、女優中村アンさんと腸内細菌の研究における第一人者である内藤裕二先生にお話を聞きました。

対談者

内藤裕二先生の写真

内藤 裕二 先生
一般社団法人 日本ガットフレイル会議 理事長/日本潰瘍学会 理事長/日本酸化ストレス学会 理事長/京都府立医科大学大学院 医学研究科生体免疫栄養学講座 教授

中村アンさんの写真

中村 アン さん
女優

腸活の三本柱
「食事」「運動」「睡眠」

内藤先生

まず、腸活をする上で知っておきたいのが、三本柱の存在です。腸活の三本柱とは、「食事」「運動」「睡眠」の3つのことをいいます。腸内環境を整えるためには、この三本柱のバランスを保つことが重要です。

腸活の基本「食事」で意識すべきこと

中村さん

腸活といえば食事に気をつかった生活をするイメージがあります。私は腸に良さそうだと考えて、リンゴを丸ごと食べていた時期もありました(笑)。他には、ヨーグルトも腸に良さそうなイメージがありますね。でも、私はヨーグルトがあまり得意ではないので食べていませんでしたが…。

内藤先生

日本人は体質的に、ヨーグルトや牛乳に含まれる乳糖を分解するのが苦手な人が多いんですよ。中には牛乳を飲んで下痢をしてしまう人もいますね。逆にいえば、便秘の人にはちょうど良いかもしれません(笑)。ちなみに、私は毎朝スムージーを飲んでいるのですが、牛乳やヨーグルトではなく豆乳を入れています。

中村さん

豆乳にすると、何かメリットがあるんですか?

内藤先生

豆乳の原料として使用される大豆には食物繊維が豊富に含まれているので、実は腸活にピッタリなんです!食物繊維は腸内細菌のエサとなるので、意識して摂ることをおすすめします。

内藤裕二先生の写真

【補足】<腸活三本柱「食事」について>

内藤裕二先生の写真

腸内環境を整えるために、食事で意識すべきポイントは以下の3つです。

  • 1.有用菌を直接摂取する
  • 2.菌のエサになるものを摂取して腸内の有用菌を増やす
  • 3.普段の食事に「まごわやさしいよ」を取り入れる

乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌といった体に有用な働きをもたらす有用菌は、ヨーグルトや発酵食品などから直接摂取できます。有用菌を積極的に摂取して腸内細菌の数と種類を増やし、腸内環境を整えましょう。
なお、腸内環境に良い食品は「まごわやさしいよ」を意識すると簡単に取り入れられます。

  • ・ま:豆(大豆・納豆・豆腐など)
  • ・ご:ごま
  • ・わ:わかめ・もずく・ひじきなどの海藻類
  • ・や:野菜(レタス・キャベツなどの葉物野菜よりにんじん・
    ごぼうなどの根菜類がおすすめ)
  • ・さ:魚
  • ・し:しいたけをはじめとするきのこ類
  • ・い:いも類(さつまいも・じゃがいも・里芋など)
  • ・よ:ヨーグルト

根菜類を入れたおかゆがおすすめ

中村さん

以前は朝起きたらすぐにコーヒーを飲むのが習慣でしたが、胃の調子を整えるために、最近は白湯に切り替えています。切り替えた当初は味がしない白湯の感覚が苦手でしたが、今は飲まないと落ち着かないくらいまで馴染んで、海外に行っても飲んでいます。白湯を飲む習慣は、腸活から見るとどうなのでしょうか?

内藤先生

そうなんですね。白湯も良いですが、腸活という点でいうと、できればお粥の方が良いですね。お米には食物繊維が含まれているので。

中村さん

そういえば、胃の調子が悪かったときに白湯を飲みつつお粥を食べたら、調子が良くなった記憶があります。

内藤先生

また、お粥なら具材を加えることで、より食物繊維を摂取することができます。腸活を意識するなら、にんじん・ごぼう・じゃがいもといった食物繊維が豊富な根菜類がおすすめです。

中村さん

なるほど!これからは、食物繊維が摂れる具材を入れたお粥で腸活をしてみようと思います! 中村アンさんと内藤裕二先生の写真

「運動」で腸活

中村さん

腸活には運動も大切なんですよね!今まで運動で腸に意識を向けてきたことがなかったので驚きでした。

内藤先生

はい。腸活には運動も欠かせません。私は毎朝6:30頃に起きてラジオ体操をするのが習慣です。ラジオ体操を10分した後、スムージーを飲んで朝ごはんを食べます。ラジオ体操とスムージー、朝ごはんのセットで腸を動かすのが毎日のルーティンです。

中村さん

素晴らしいですね…!私も普段ピラティスに通っているので、腸を動かすことを意識して取り組んでみようと思います!

内藤裕二先生の写真

【補足】<腸活三本柱「運動」について>

内藤裕二先生の写真

適度な運動は、大腸のぜん動運動※1を促し、胃や腸の働きを活性化させます。特に腹筋は便を押し出すために重要な働きをします。毎日少しずつで良いので、適度な運動を取り入れると良いでしょう。大腸がんの予防においても規則的な運動習慣の重要性が明らかとなっています。
また、運動には腸内の酪酸菌を増やす効果があることもわかっています。
酪酸菌を増やすために運動をするのであれば、息が上がるくらいの強度で30~60分続けるのが目安です。週3回程度の頻度で1カ月半継続すると、BMIの値に関係なく酪酸菌が増えたという研究結果があります※2

  • ※1 ぜん動運動:腸が伸び縮みを繰り返して、腸内の内容物を移動させ体外へ排出する動き。
  • ※2 Med Sci Sports Exerc. 2018 Apr;50(4):747-757.

腸内環境は質の良い「睡眠」と関係している

中村さん

ここまで、腸活の三本柱のうち「食事」と「運動」について教えてもらいましたが、「睡眠」も腸と関係しているんですよね?

内藤先生

はい、関係しています。実は私は、自分の睡眠や呼吸数、体温などを24時間モニタリングできる環境で生活をしています。身を以て改めて実感したのですが、やはり寝る前の3時間以内に胃に重いものを食べたり、寝る前の5時間以内にコーヒーを飲んだりした日は、睡眠のスコアが悪くなります。私が睡眠にこだわりを持っているのは、腸と睡眠には密接な関係があるからです。実際、良い睡眠が取れた日は朝からハイパフォーマンスで仕事ができています。 中村アンさんと内藤裕二先生の写真

中村さん

やはり腸活には睡眠も大事なんですね!まずは自分の生活を振り返ってみようと思います。

内藤裕二先生の写真

【補足】<腸活三本柱「睡眠」について>

内藤裕二先生の写真

腸は「第2の脳」といわれるほど、神経系と深い関わりを持っています。例えば、「幸せホルモン」とも呼ばれている神経伝達物質のセロトニンは、その90%が腸で生み出されています。そしてセロトニンは、睡眠を促すホルモンであるメラトニンをつくります。腸内環境を整えて、質の良い睡眠を取りましょう。

関連リンク